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執筆者の写真こうご

開業と廃業について 原因は?

先日の新聞記事で、渋谷駅周辺ではオフィス開業が続く。という記事を見ました。

渋谷に限らず、開業者がどれだけ増えているのか気になったのでちょっと調べてみました。


開業の推移

2024年版「中小企業白書」に1982年から2022年までの開業率、廃業率のデータが出ています。

下記グラフで開業率(青い線)を見てみると、バブル崩壊後からは4%台前後を横ばいに続いています。毎年一定数の開業者が存在し続けています。この現象は、経済の動向や社会の変化に関係なく、一定の起業家精神が維持されているということでしょうか

開業率・廃業率の推移

どんな思考を持っている人が開業に踏み切り、どんな悩みを持っているのか?日本政策金融公庫の「23年度新規開業実態調査」のデータで開業者の動向をアンケート結果がみれるのでもう少し調べてみたいと思います。


開業者の動向

開業業種

1、サービス業が28.6%

2,医療、福祉が17.0 %

3,小売業が11.9%

と続いています。

現在の事業に決めた理由は、今までの経験や技能を活かせる43.9%、身につけた資格、知識を活かせるからが23.2%と70%程の人は自分のスキルをもとに開業に踏み切ったとみれます。


開業理由(3つまでの選択可)

1.自由に仕事がしたかった57.4%

2.経験、知識、資格を活かしたい45.8%

3.収入を増やしたい45.5%

という結果です。

また、事業経営という仕事に興味があった35.5%、自分の技術、アイデアを事業化したい30.8%というチャレンジ精神を持ち合わせてた開業者も30%程います。


開業時の苦労(3つまでの選択可)

1.資金繰り59.6%

2.顧客、販路開拓48.5%

3.財務税務法務の知識不足37.5%

が最も多い結果になりました。


開業後の苦労(3つまでの選択可)

1.顧客、販路開拓49.5%

2.資金繰り37.0%

3.財務税務法務の知識不足32.2%

が最も多い結果になりました。


また別のアンケート、日本政策金融公庫の「2023年度起業と企業意識に関する調査」の結果では、


事業を始めて良かったこと(複数回答)

1.自由に仕事ができた48.6%

2.経験、知識、資格を活かせた23.0%

3.アイデアを活かせた22.8%

と続いています。


収入、やりがい、ワークライフバランスの総合満足度

かなり満足14.8%、やや満足39.6%、どちらともいえない31.9%、やや不満7.9%、かなり不満5.8%となっています。


開業して半分程の人は満足している。

資金繰り、販路は事業を始めた時から常に課題になることが見て取れます。



一方、倒産率もどうなっているのか気になります。


24年上半期の倒産

東京商工リサーチで2024年上半期の倒産件数が発表されました。 

2024.1-6までの倒産件数は、4931件でした。


原因別の内訳

(現時点では1月~5月分までの原因別です)

2024.1-5の倒産件数4,111件

  1. 販売不振     2,994件 72.83%

  2. 既往のしわよせ   462件 11.24%

  3. 連鎖倒産      223件  5.42%

4. 放漫経営      190件  4.62%

となっており、販売不振が圧倒的に多く、企業にとって重大な課題です。


2位の「既往のしわよせ」とは、経営状況の悪化を対策をしないでそのまま放置して資産を食いつぶし倒産してしまう事をいいます。


4位「放漫経営」は経営者の能力不足、会社の私物化による経営悪化させ倒産の原因になることをいいます。


販売不振と言っても詳細は会社ごとによって事情は違いますが、開業起業のアンケート結果でも出ていたように、「顧客、販路開拓」や「資金繰り」は開業時から常に課題です。

課題解決のために出来る事は、事前の対策であり、事前の対策によって倒産のリスクを大幅に減らすことができるという事です。


市場調査や顧客理解、差別化、マーケティング戦略の強化、顧客関係の強化、新しい販売チャネルの開拓、パートナーシップ、そして従業員のトレーニング、これらの事にアンテナを張り、対策を組み合わせることで、安定した成長に近づく事ができるのではないでしょうか。


あとは、現状の数字を把握する事です。

正確な数字を把握し、何が原因でこの結果になったのか?を理解しておくことがとても重要だと言えます。何をすると何処の数字に影響がでるのかが分かれば、問題対策への道が近づくのは言うまでもないでしょう。

「歴史を知り、現在の状況を把握し、未来の予測を立てる」それには会計帳簿は必須です。

そのためにも正確な帳簿記録やデータは欠かせません。財務担当や経理との連携はとても重要だと言えます。自分が分からないからといって人任せにするにではなく会社にとって重要なポイントだけでも見れるようにしておくことは経営者にとって必要なスキルです。


新たな事業の冒険に果敢に挑み、一世一代の大決断を下して、自らの未来を切り拓く壮大なステップを踏み出したにも関わらず、僅か数年で廃業だと失うものも大きい。常にアンテナを張り、その時のための準備は怠らないように。

以上、「開業と廃業について 原因は?」でした。



※日本政策金融公庫の「23年度新規開業実態調査」へ→kaigyo_231130_1.pdf (jfc.go.jp)

※日本政策金融公庫の「2023年度起業と企業意識に関する調査」へ→kigyouishiki_240118_1.pdf (jfc.go.jp)

※中小企業白書のページへ→倒産の状況 | 中小企業庁 (meti.go.jp)

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